原文
かねてより
おもひそめにし
真心を
けふ大君に
つげてうれしき
人物
藤田東湖の四男。水戸天狗党の筑波山挙兵を主導し、敦賀で処刑された。 水戸学の熱が若い身体に宿った人物。父・藤田東湖の思想を受け、尊王攘夷の正義を信じて筑波山で挙兵した。だがその熱は、藩内対立と幕府の追討の中で行き場を失い、敦賀の雪へ追い詰められていく。
現代語訳
以前から心に抱いてきた真心を、今日ようやく大君へ告げることができてうれしい。
詩の説明
若い尊攘の熱が、そのまま最期の言葉になっている。ここでいう真心は、個人の感情ではなく、天皇へ届くべき忠義として語られる。だが「うれしき」という語の明るさは、敦賀で処刑される現実と並ぶことでかえって痛ましい。理想が純粋であるほど、現実の冷たさが深くなる。
背景
藤田小四郎は藤田東湖の四男で、水戸天狗党の筑波山挙兵を主導した。京都へ尊攘の志を訴えようとした行軍は追討を受け、最後は敦賀で降伏、処刑へ向かう。この一首には、敗北してもなお自分の行動を忠義として受け止めようとする若さがある。