人物
白虎隊士。飯盛山で自刃を図り、ただ一人生き残った人物。 飯沼貞吉の歌は、死の瞬間よりも、その後を生きた時間の重さを映す。飯盛山で自刃を図りながら生き残り、維新後の長い生を歩んだ彼にとって、白虎隊の時代は夢とも現ともつかない遠さになる。白雲の比喩には、死者の側へも新しい世の側へも完全には戻れない浮遊感がある。
現代語訳
過ぎ去った世は夢だったのか現実だったのか。白雲が空に浮かぶような心地がする。
詩の説明
白虎隊でただ一人生き残った者の、時間の遠さを感じさせる歌。過ぎ去った世が夢だったのか現実だったのか分からないという感覚は、単なる懐旧ではない。飯盛山で死ぬはずだった少年が、その後の時代を生き続けたとき、過去は地上の出来事ではなく、空に浮かぶ白雲のように手の届かないものになる。
背景
白虎隊士・飯沼貞吉の歌として知られる。飯盛山で隊士たちが自刃した中、彼は救われて生き残り、維新後も長く生きた。だからこの歌は、死者の辞世ではなく、生存者の後日譚である。夢と現のあわいに漂う感覚には、生き延びたことそのものの重さがにじむ。