原文
夢うつつ
思ひも分かず
惜しむぞよ
まことある名は
世に残るとも
人物
会津藩主・松平容保の義姉。会津戦争で女性たちの精神的支柱となった。 照姫の歌は、自ら散る辞世ではなく、誠を尽くした者へ向ける追悼として響く。会津戦争後、責任を背負って処分された萱野権兵衛を悼む歌として伝わる。死者の名が世に残るとしても、残された者の惜しむ心は夢か現かも分からないほど揺れている。
現代語訳
夢か現かも分からぬ思いで惜しんでいる。誠を尽くしたその名は、世に残るとしても。
詩の説明
自らの辞世ではなく、誠を尽くした者へ向ける追悼の歌。夢か現かも分からないという揺れは、現実を受け止めきれない残された者の感覚である。名が世に残るほど立派な最期であっても、惜しむ心はそれで慰められない。会津の敗北を、死んだ者ではなく見送る者の側から見ることができる。
背景
照姫が萱野権兵衛を悼んだ歌として伝わる。会津戦争後、萱野は責任を負う立場となり、誠ある名を残して死へ向かった。この一首は、戦いで散る者だけでなく、その死を受け止める者の余韻を残す。会津の詩として読むと、忠義の美しさと、その美しさだけでは埋まらない喪失が重なって見える。